今更『プレミア8・偉大なるミステリー作家逹』感想〜主にクイーンとクリスティ〜

またまた登場お齋藤でございます。
今回は初の試み、携帯電話からの投稿でございます。
何分ビギナー故、読み辛かったら申し訳ないですがひとつよしなに…。


さて、今回お話したいのは今春NHKハイビジョンにて連日特集されていた『プレミア8・偉大なるミステリー作家逹』についてです。
そこで俎上にあがっていたのは、エドガー・アラン・ポー、エラリイ・クイーン、レイモンド・チャンドラー、アガサ・クリスティ…と
なんとまあ素敵なラインナップ!
しかも各作家ごとに異なる趣向で演出されているんですもの、さあ大変。
全て美味しくいただかせて貰いましたよ。
ちなみにどのような演出かと言うと、ポー篇は藤原竜也明智小五郎となり、江戸川乱歩からポーの生涯についての調査依頼を受け、
関係者たち(無論役者が扮しています)から聞き込みをする、といった内容。
チャンドラー篇もそれに近く、彼と最愛の妻シシーとの愛の軌跡を、彼の生み出した探偵マーロウが語る形式。


で、ですよ。
ここでお話したいのはクイーンとクリスティの回について。
わたくし、どちらも小学生の頃から大好きな作家でして。
まあ、クリスティはよくあるパターンですがジュブナイルポアロ物から入り、NHKの『名探偵ポアロ』D・スーシェ版ですっかり虜になりました。
(丁度はまった頃にクリスティ生誕100周年とやらでハヤカワが気合い入れていたしねぇ)
一方、クイーンはやはり小学校の図書館で出会った東京創元社の海外名作推理小説ジュブナイル『エジプト十字架の謎』(何と装丁は横尾忠則!)で知りました。
(どちらかといえば同時収録の『靴に棲む老婆』に「持ってかれた!(by『キミ犯人じゃないよね』)」わけですが。)
で、幼な心に「国名シリーズって萌え!」と思い、長じて有栖川有栖を読むきっかけとなるわけだから、三つ子の魂百迄とはよく言ったものですなぁ。


で、そんなわたくしが観た番組の感想。
まずクイーンの回はその2大キャラ、その名もズバリエラリイ・クイーンと耳の聴こえない老シェイクスピア俳優ドルリイ・レーンをどちらも演じたことのあるという石坂浩二が司会となり、
『アタック25』よろしく各大学のミステリ研究会の若人たちとヌルい(失礼)クイズもどきを展開。
これはまあクイズの形をとった論評会でしたな。
その証拠に正解してもポイントなんか表示せず、最後迄勝利も敗北もなくマッタリでしたから…。
しかし海外ロケ分は素晴らしかったわ。
何せクイーンそれぞれ(ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、クイーンは従兄弟2人の合作ペンネームです)のご子息がインタビューされていたし。


それでもってクリスティの回!
録画をご覧になったお先生からもメールを頂戴しましたが、昨年、同じくハイビジョンで放送された『シリーズ恋物語・[虞美人草]殺人事件』と同じスタイルで
一瞬デ・ジャヴュに囚われちまいましたよ…。
えぇ、有識者たち(まあ本職の作家は勿論として、アンガールズの田中氏など読書家括りの人とか)が予め指定されたクリスティの何作品かを読み、
それぞれの見地からクリスティという人物を魅力を紐解いていくってヤツ。前回でいう島田雅彦先生様にあたる綾辻行人が要所要所でポツリと締める、みたいな画で。
もっとアツく攻めてくれるかと思ったけど、そのポジションは桜庭一樹に任せていたようでした。
なんというか、同業者故かイイ事言えた桜庭氏ににっこり微笑んで「イイとこに目をつけた」と褒め、「綾辻先生にそんな風に言われて、もう死んでもいい!」と興奮させる綾辻
京大の推理小説研究会で後輩女子たちにもあんな感じだったのか?(奥さんとは静かに激戦していたイメージ。なんとなく)
惜しむらくは『そして誰もいなくなった』以外がイメージ映像がイラストだったこと。
あとディスカッションした都内のホテル、名前出ていなかったけどどこだろう…
内装や景色が素敵でちょっと宿泊してみたかったわ。

とまあまた長々と駄文を書き連ねましたが、再放送の折りがありましたら皆様もエア・チェックしてみては如何でしょうか?
どの回もネタバレはしていないので未読の方も安心ですよ。


以上、映画『ハゲタカ』舞台挨拶チケット取りに完敗したお齋藤でございました…。



〜お先生アンサー篇〜

さてさて、皆様、ご無沙汰でございます。興味のあった『サマヨイザクラ』(残念ながら綺麗にまとめられていたなぁ。「裁判員制度」の問題に深く切り込んだ番組は、やはり『相棒』に勝てるものはないのでしょうか?)の視聴を終え、お齋藤さまの渾身のブログにアンサー篇でも書こうかとやってまいりました。少々お付き合いのほどを。
さて、『プレミア8・偉大なるミステリー作家逹』、わたくしもすべて視聴いたしましたよ。
なんせ記念すべき第一回目が私の敬愛する作家たちが敬愛するエドガー・アラン・ポー!大変楽しみにして観たんでございますが、なんというか……、物足りなくなって最後まで見続けることが出来なかったわたくし。
『黒猫』のモデルになったという、ポーが実際住んでいた家の地下室のレンガ壁を見たときには鳥肌がたちましたが、なぜかその後はポーの生活同様?詰まらないものになってしまった気が。彼の書く幻想小説には敵わない内容で残念でした。乱歩が明智にポーの人物調査を依頼、という趣旨は面白かったはずなのに。江戸川乱歩の名は言わずと知れた、ポーの名をもじったものであるのですが、乱歩のポーに対する傾倒ぶりは久世光彦が書いた『一九三四年冬―乱歩』を読んでいただくとお解りになるのではないでしょうか?勿論、これは久世さんが書いたフィクションなのですが、乱歩がポーの何を愛していたのかが、大変よく描かれている傑作ではないかと思います。はい。
さて、このシリーズがなんとクイーン、チャンドラー、クリスティーと続くと知ってエラリーフリークのお齋藤さまに早速連絡したわたくしでございました。
お恥ずかしいことに、わたくし、エラリー・クイーンは未読(多分)でして、お齋藤さまから多々噂は聞いておりました。それも「『シャム双子の謎』ほんとうに頭にきた!」とか、そういう内容しか覚えていなかったので、結構トンデモ系なの?と勝手に失礼なイメージを抱いておりました。しかし、このシリーズの中で一番興味深く観たのがエラリー版だったわ。
最初は、先にお齋藤さまも言ったように、クイズ形式の回答者たち、早稲田・慶応・成城・東洋・白百合大学のミス研の学生の発言内容がどうも緩くて、すっかり気落ちしておりました。普通、「ミス研」って言ったら、名立たる推理小説家を排出した京大とそれに対抗する東大だろ?!なぜその2校を呼ばなかったのか怒りマークのわたくしでした。しかし、その他は本当に面白かった!なんと言っても、エラリー・クイーンであるフレデリックとマンフレッドの息子の証言!これは貴重です。二人とも自分の父親を誇りに思っていて、私は「私の父の方が才能があった!」なんて言い出しやしないかとヒヤヒヤしたのですが、二人の才能が合わさったからこそ、「エラリー・クイーン」という大人気推理小説家が誕生したのだと確信しました。そして、クイーンといえば、バーナビー・ロスについて語らない訳にはいきません。クイーンとロスのどちらが推理小説家として面白いかを当人たちが論議しあう映像だけでも面白かったですよ。ドルリー・レーンのイメージVもとても良かった。あれでドラマを観たかったです。あとは、クイーン脚本で当時実際にNYで放送されたラジオドラマを再現したこと。平ちゃん(石坂浩二)が参加したのも良かったし、俳優人の方々も豪華で、実際どうやってラジオドラマを録音するのか、その映像を見せたことも面白かったです。
さて、お次はレイモンド・チャンドラー。これもチャンドラーの妻は8歳年上と偽っていたが、実は18歳年上であった、とかなんだか知らない情報やコメントする大沢在昌様も出てきてなかなか楽しかったです。『新宿鮫』にあえて特定の恋人を持たせた理由もなんとなく解ったし。チャンドラーが住んでいた家や探偵マーロウが事務所を構えていたとされる場所なんか行ってみたくなっちゃいますよね。あとは未完に終わった『プードル・スプリングス物語』について。あのマーロウが実は結婚してたなんて知りませんでした。この小説、「チャンドラー」フリークであったロバート・B・パーカーが完成させたのですが、わたくしの元同僚の「マーロウ」ファンの方は未読というか、読む気になれないそうです。漱石のファンは他の作家が書いた『明暗』の続編を読みたい!けれど、「マーロウ」のファンは他の作家が書いた続編を読みたくないという気持ちはなんとなく解るような気がします。そいういう意味では、三島由紀夫は『豊饒の海』を完成させてから亡くなってくれて良かったと思います。テレ朝の『鹿鳴館』台本書替えの悲劇を思い出しますもの。
さて、最後はクリスティーね。
わたくしも大好きな名探偵ポワロ。ポワロについてはドラマ先行だったわたくしはあまり小説を読みませんでした。ま、『そして誰もいなくなった』なんかは中学生の時に読みましたけどね。それ以来、「推理小説にはこんなこともあるのね。これからは絶対騙されないわ!」と心に誓ったものです。あとはこれまた、なぜか今までずっと観ることが出来なかった『オリエント急行殺人事件』。本当に最近BSで見たので共感しながら視聴しました。個人的にはお齋藤さまも言っていたBSの『虞美人草』の討論会?の内容があまり好きではなかったので、あの形式をみて、またあのプロデューサーだろ?とすぐピンときましたよ。また桜庭&綾辻云々の記載については溜飲下がりまくりでしたよ、お齋藤さま♪イメージ映像がイラストだったことは『お厚いのがお好き』を思い出させて良かったんじゃないでしょうかね。
ということで、アンサー篇なのにまたも長文になってしまい失礼してしましたわ。
それでは、また次回お逢いしましょう。