消しゴム判子、5000個の奇跡〜ナンシー関 大ハンコ展〜


お先生:
ローズです♪
マリーです♪
ローズ・マリーですっ♪

おすぎです!
ピーコです!
おすぎとピーコです!!

どうも皆様、おまっとさんでした。
とうとう梅雨入りしちゃって、ジメジメの毎日、如何お過ごしでしょうか?
さて、首都東京、若者の集う街・渋谷ではある偉人の回顧展が開催されております。
ある偉人とは、誰ぞ?
そうです、何を隠そう、あの「ナンシー関」なんであります。
まぁ、カトリーヌあやこナンシー関がいなかったら、
「わたしたち、ここまで生きてこられなかったよね?」というツライ(?)人生を
送ってきた我々にとり、ナンシーは…、なんだろ…、うーん、
お齋藤さま、ナンシーって私たちにとって何だろう?
美味しいカレーとか?


お齋藤:やぁどうも、こんにちは。
久々に渋谷パルコを訪問し、妙にどきどきしてしまったチキンなお齋藤でございます。
先週末、お先生より回顧展の情報をお聞きし、いても立ってもいられず
薄っぺらなボストンバック、西へ西へ向かっておりました(by.TSUYOSHI NAGABUCHI)
思えば、お先生と学校で初めて(でもないか?)言葉を交わした際に
話題に登って以来、我々のテレビや世間に関する評の根底にはナンシーイズムが
あったように思ってみたりなんかして。
で、だ。我々にとってのナンシー…。
カレーか…確かに言い得て妙だな。
毎週食べられる術もあった(雑誌の連載)けど、あえて我慢して我慢して、
「いよいよ食べるぜー!」となったときに一からじっくりと作り上げたものを
とことん堪能する。
(改訂や後書き・解説のついた、連載を1冊にまとめた単行本を一気に読破)
食後も、その味について何度も反芻し、いつまでもレシピなどを討論できる。
そんな感じってことですよね?…あれ、違った??


先:長渕は九州出身なんだから「東へ東へ向かった」なんだけどねぇ。
語呂悪いから?
東北出身者の歌だと結構違うと思うんだけどなぁ。

話を戻しまして、ナンシー、
最終的には「はぁ〜美味しかった!カレーってやっぱ美味い!!」って
感想に至る、ってことなのよねぇ。
お齋藤さまの分析、大筋で合っております。
ま、「肉」でもいいんだけど、カテゴリ広すぎるから。

さて、いよいよ会場に到着しましたら、
ま〜、どこから集まって来たのか、
若者たちがズラ〜っと並んで階段にまで続いておりましたな。
驚いたのは意外と平均年齢低くないか?ってとこ。
ナンシーが亡くなってから、もう6年も経つのに、
なんとなく20代前半ぽい雰囲気が漂っていたのは気のせい?


齋:中には幼児連れのヤングママさんもいらっしゃいましたからねー。
大きくなって、あの子はこの記憶をどう受け止めるのか。
あと、妙にアベックが多くて、「これはデートコースなのか」と思いました。
なんとなく若者は美術系の専門学校生が多かったようなイメージです。
ま、パルコに年配者がスズナリの行列していてもちょっと怖いか。


先:確かに美術系の専門学生ぽかった。
でもさー、あんなところでイチャイチャしてる人
(目の前のカポーは女がずっと男の背中をさすり続けていた)が
本当にナンシーを好きだとは思えないんだけど。


齋:人それぞれだから。B系の格好を好む人がガンダマーだったりする世の中ですもの。
それに、ほかのひとたちも「これ、誰だろうねー」とかキャッキャしながら語っていたし。
まあ、件のひとたちについては(勝手ながら)もう妄想は完了しています。
きっと彼氏が「観たい」と言い出したんだろうな。

男「明日のデートはパス。俺、パルコにナンシー関展観に行くから」
女「えーっ。なんでーーー?!ルミルミ(仮名。なんとなくこんな感じかと思って)も
観たいナー」
男「…。ルミ、ナンシー知ってるの?知らないからきっと行ってもつまらないよ」
女「いいもーん。行くもーん。ミックン(仮名。適当です)が好きならルミルミも
好きー♪」

で、行ったら行ったでよくわからずちょっとしょんぼりなルミルミであった。(完)

…こんなとこで。
しかし、あれだね。ラブラブMAXな状態でも公共の場では自制しなくちゃね。
わたくしも結構テンション上げてしまう性質なので、人のふり見て我がふり直せ、
しかと肝に銘じます。(あそこまでがんばれませんけど)


先:おおっ。お齋藤さまのプライベートが少々暴露されたところで、
本題ですけど、内容はハンコ5000個の寄せ集め、って感じでしたな。
あれは知ってる人じゃないと、本当にルミルミさんみたく「これ誰?わっかんなーい」
みたいな状態に陥りやすいですよ。
しかも展示状態が反転なので、文字も読みづらいし、
我らのように思い入れがあるハンコの台詞を覚えているような人でないと
すらっとは行きませんねぇ。みんな100個くらいの塊のケースをじっくり観るから
停滞渋滞でまったく前に進みませんでした。
ハンコの隣についた状態の紙などを一つずつ展示していただけると有難かったのですが、
なんせ量が量だし、スペースがかな〜り狭かった(20畳もあった?)ので、
個人的には入場料1500円取っても良いから、上野の美術館くらいでやって欲しかったよ。
ま、ワタリウムでもいいけどさー。


齋:本当、ムシムシ暑い日に下を向いて凝視の連続だったから、頭がぼぅっとしちゃいました。
スペース的にはまあ仕方ないとして、期間をタイトに設定していたから余計すごい人出だったんだろう。
しかし、印刷されているものではわからなかったけど、ハンコは細かくシワが入っているのよね。
ガッツとか村山元総理とかはわかるけど、思いがけず線がいっぱいはいっている芸の細かさ。
あの生き生きとした表情はあそこから生まれたのですね(←雑誌のインタビュアー風)


先:ほんと、はんこ一つ一つが芸術品だわぁ〜。
でも、インターネットもない時代にテレビ画面をトレースしてたって話しだけど、
ただの似顔絵じゃない、なんというか、
「よくぞ、この間を!」とか「そうそう、この瞬間のぼわーんとした顔が…」とか
瞬間を捕らえた芸でもあると思います。
でもさー、私は平成の芸能人よりも、昭和って感じの芸能人を彫った時の方が
よりナンシーの良さが出ている気がします。
芸能人ではないシリーズも昭和さが溢れ出ている。丁稚さんとか、ジュースとか。
あれ、『ジュース』って書いてあっても明らかに「昭和のジュース」だもん。
それは、決して「レトロ」なんてブームに使われるような安易なものではないのです。


齋:やはり自分が生きてきた、人格形成された時代だもん、
咀嚼具合は半端じゃないでしょう。
それに昭和のTHE芸能人、という方々のほうがすべてにおいてスター性とか
オーラが違うから余計絵に成りやすかったんじゃないかな。
お先生が中に入るときから何度もチェックしていた、(恐らく小川ローザの)
OH!モーレツの版画。
あれだって菊川版だとしたら重みがなかったように思います。


先:確かに、勝新にしたってオーラが違いますもんね。
だから消しゴムの勝新も本当にオーラを放ってる。
今日の夕刊に消しゴムハンコやってみよう!みたいな記事があったけど、
ナンシーの消しゴムハンコはやはり“プロの仕事”って感じでいぶし銀の技が光ってます。
ナンシーがカッター持ってキラーンっていうハンコがあるじゃない?
まさに、あれですよ。職人の技。


齋:ナンシー、NHK教育の趣味番組で出たことがあるんだってね。
今で言う『おしゃれ工房』みたいなので、年末にやった「年賀状の版画あれこれ」みたいなので。
講師(指南役?)として出演したようだけど、“消しゴムに版画を彫る”パイオニアでも
あったのかな。それと、職人技というのにはまるっと同意。
しかも、彫る事に関しては頑ななんだけど、題材とかそれに付随する文章はとても柔軟だから
正に神業でしたわよね。
よく、色々な人が掲げている「ナンシー以前・ナンシー以後」というコピー。
この一言に尽きるのかもしれない。


先:そうそう、そのコピーで思い出したけど。
ちょっと会場で気に入らないことが。
ナンシーの周りにいた著名人たちのコメントが会場のテレビで流されてたでしょ。
あの中で、誰だったか「ナンシー展にようこそ。というか、来て下さってありがとうございます」
ってコメントしてる人がいたんだけど、
そりゃ、私たちは著名人でも文化人でもナンシーの友だちでもないから
レセプションパーティーに呼んで貰える訳じゃなくて、
一般の客として入場料払って観に来てるんだけど、
あなたに「ナンシーの為に来てくれてありがとう」って言われる筋合いはない、と思った。
まぁ、嫉妬ってのは分かるんだけど、「あなたのナンシーではないですよー」と思ったね。


齋:確かえのきどいちろう氏じゃなかったっけ?
仕方ないよ、彼はナンシーを見いだした(ちょっと違うけど)恩師的な位置づけな
人だし。まあ金銭は介在しちゃうけど、葬儀委員長とか世話役みたいな感じで目をつぶりましょう。
(なんて上から目線)


先:みんな、ナンシーの友だち、ってこと自慢なんだろうなぁ……。羨ましい。
ま、そのビデオでも言ってたけど、
ナンシーが亡くなってからも「ナンシーが生きていたら、どのようにネタにしてくれただろう……」
ってことが起こるたびに悲しみが増しますわよね。
「ああ、そうか。君はもうこの世にいないのか……」って思う。


齋:わたくし、高校時代から愛読していたけど、周囲でナンシーの話をしてわかる人って
あまりいなかったから、そんなに皆も読んでいると思わなかったのね。
「あの消しゴムで版画やる人だよね。読まないけど」程度の反応だったし。
で、長じても、お先生や文春を愛読している友人との間しか話題にならないって感じだったので
亡くなったときの取り上げられ方とか、その後のこういうナンシー祭りみたいなものが
何だか不思議な感覚だわ。
単に私が半径100メートルの見方しか持っていないだけなんだろうけど、
何というか「皆、今まで本当に食い入るほど読んでいたの?」って感じ。
それは喩えが悪いかも知れないけど、hideが亡くなったときもそんな風に思った。
「わたしはよく知らなかったけど、皆そんなに話題にしていた?生前もカラオケで必ず歌っていた??」
みたいな。


先:やっぱりやってたことが特異な上にレベルが高すぎだから
真似しても中途半端だし、恥ずかしくて同じことできないんじゃない?
ちゃんと才能ある人はオリジナリティーで対抗できるし。
ま、リリーとかも憧れてたみたいだけどね。それは別の話だし。
なんか、同じように消しゴムハンコ作って批評(?)してる人がネットにいて
新聞でも話題になったけど、ナンシーほど面白はないらしい。
って、やっぱこういう風な評価の仕方になっちゃうよねぇ。


齋:まあ、才能云々もだけど、それこそ以前ここでも話題になったように
俎上にあげる作品(テレビ番組)もあの頃よりまた随分減ったからね。
だからといってフォロワーが可哀相、ってわけでもないけどさ。


先:ナンシーの本はこの先もずっと読まれ続けるだろう。
ナンシーが取り上げた作品がいくら古くなろうとも、
それらの作品についての面白さを出来るだけこのブログで伝えられたらいいなぁ、
ってのもあるよねぇ。
ドリフやW浅野を知らない世代がその批評を読んでもやはり分からないだろうし。


齋:そうね。せっかくこういう場があるんだから、
知らないっていう人にも我々のおもう面白いこと・いいことを少しでも
伝えていきたいよね。
さっき(6/11)Yahoo!ニュースで水野晴郎氏逝去の報に触れてきたばかりで、
またちょっと気持ちがざわついているけれど、わたくしは『シベリア超特急』について
ナンシーと『トゥナイト2』で知ったものだから。
こんな風に誰かに何かを届けたいと思うよ。


先:ナンシーが彫った軍服姿の晴郎が遺影になってしまうなんて。。。
私も本当にショックです。がっくし。
『トゥナイト2』かぁ。私もお世話になりました。
あの時、一人暮らし&大学生で本当に良かったなぁ。
ああ、また一時代が終わったよ。
せっかくだから『シベ超』シリーズを一挙放送して欲しい。
超大物女優たちが出ていてびっくりするから。


齋:『シベ超』、舞台までやってたもんね。一挙放送してくれたら完全保存版にしよう。
確かナンシーが亡くなったあたりに晴郎がナンシーデザインのシベ超Tシャツを着ながら
インタビューを受けているのを見て、なんだかほのぼのした記憶あり。
そういや、ナンシーが彼が警察マニアであることをネタに、ポリスマン・マイク水野の
フィギュアを彫ったこともあったなぁ。
しかし、偶然とはいえ速報が本題にリンクするってすごいね。


先:本当よねぇ。私もTシャツ姿覚えてる。
まだ、プヨくらいだった。
最近のスカパーのCMで相当しぼんじゃったなぁ、と悲しくなったけど。
これであのフィギアも価値が上がるわね。


齋:晴郎フィギュア高騰!それはそれで何か変な感じだ。
何だかナンシーを(今更ながら)追悼していたら晴郎まで追悼してしまいましたな。
えっと、今回語りましたナンシー展はとりあえず今週末(6/15)まで渋谷パルコで
行われております。
日にちが差し迫っているけど、主催者のHPを見たら今後随時全国を巡回予定らしいので
皆様、要チェキ!ですぞ。
http://www.parco-art.com/web/factory/nancy0806/index.php