なんだか妙にしんみりしてしまいました。〜笑い篇〜

お先生:お齋藤さま、おはーでございます。
さて、前々回は初心に戻ることができ、
なんだかスッキリしたような気もします。
まとめやすくなったっていうか。


お齋藤 : おはようございまする、お先生。
丁度春先だし、心機一転した気がしますなぁ。
しかしながら、我々の俎上にあげていたのが過去モノということもあり
お読みの皆様がご存じかどうか、一抹の不安も…。
…などと思いながらも、今回も前回路線を踏襲させていただきます。
さて、今回は予告どおり『泣き笑い』の『笑い』篇で。
お先生、わたくし、「面白くなければテレビじゃない」の策略にまるっと乗っかて
育ったテレビっ子故、「コレ!」と限定するのが難しいです…。
とりあえず自分の中で最古のバラエティは『オレたちひょうきん族』かなぁ。
何故か最近まで家に“ひょうきん族大百科”みたいな豆本が残っておりましたよ。


先:お、いきなり具体的だねぇ。
私も、「面白くなければテレビじゃない」をテーマにした岡村がやった27時間テレビ
27時間至上ではダントツだっただけあって、
基本姿勢はお齋藤さまと同じ。
そうねぇ、私はCATVをある一時期切られていた(8チャン以降が観られなかった)所為
もあってどうしてもTBSのドリフになってしまうなぁ。
Aちゃんのお家では夜8時以降のテレビは禁止されていたにも関わらず、
『8時だよ!全員集合!』だけは見せてくれてたっていうし、
万人に受け入れられた国民的な番組だよね。
その点、『ひょうきん族』は「親が子供に見せたくない番組」って感じで
夕方にやっていた再放送を見つからないように観ていた記憶がある。


齋:え〜、再放送していたんだ。
うちは家業をしていたせいか、土曜の夜だけは親もリラックスできる、っていう
理由で“土曜の夜は夜更かしOK、一緒に観よう”みたいな感じで観ていました。
しかしよく考えれば確かに内容的に『全員集合』の方が(スイカの種についての批判が
あったりしたようだけど)子どもに見せても安心なバラエティではあるよね。
“健全な笑い”って感じで。
片や『ひょうきん族』はさすがバブル期というか、スタッフがキャストとして参加して
いたり、芸能人が芸能人をモノマネ(パロディ)したり、内輪受け要素が強い。
めちゃイケ』の片岡総監督はかつて『ひょうきん族』のADだったらしいから
やはりマインドは脈々と引き継がれているんでしょうか?(それともフジの社風??)
ああ、ダメだ、頭の中で『盆回し』(『全員集合』でセットが変わるときのあの曲)が
踊っている…。


先:あの曲は急がなくてはならない時に掛けると良いです。
やっぱさ、今はめちゃイケも凄く好きだけど、
フジテレビ系のバラエティ番組は『めちゃイケ』も『はねる』も
「子供に見せたくないランキング」に入ってるんだよねぇ。


齋:『はねる』か…。あまり観ていないなぁ。
時々、100円均一の品物を当てるコーナーは観たりするけど。
「子どもに見せたくないランキング」ってどこで募集しているんだろうと思い検索したら
PTAの全国協議会が行っているんだそうで。
『ロンドンハーツ』もそうだよね。<見せたくないランキング
でもさ、いま挙げた『めちゃイケ』『はねる』『ロンハー』、すべて深夜枠からの
昇格組なんだからさもありなんよね。元々が観せない(はずの)時間帯のものだったんだから。
なんだか妙に納得してしまった。



先:「笑い篇」って言っててなんだけど、そもそも「笑い」ってなんだろう。
誠実なお笑い芸人たちは常に悩んで自問してるんだろうけど、
なんか、最近はその誠実さが伝わるようなバラエティは少なくなってて、
やっつけの番組が多いよね。


齋: 「笑い」とはなんぞや、か。難しいなぁ。
やっつけ番組、お笑い芸人が「お笑い芸人」だけでいられなくなってしまったご時世もあるのかも。
最近、(歌手もそうだけど)やたらと月9だので若手芸人をトレンディなドラマに出すようになり、
抱きたいだの抱かれたいだのなんだののランキングの対象になってしまった。
時流や事務所・テレビ局の戦略もあるかも知れないけどさ。
あと、わたくし『元気が出るテレビ』とか『夢で逢えたら』も大好きだったんだけど、
今の若手芸人たちも同じように観て育ったとしたら、どうしてもあれ以上のインパクトとか
面白さを追求しようとしてがんじがらめになっちゃう気がする。


先:ふーん。逆に良い時代に育ちすぎたってことか。
でもさ、最近のお笑いは瞬間芸だとかって批判もされてるけど、
『レッド・カーペット』みたいに上手く作っている番組もあるでしょ。
あと、最初のころはお気に入りだった、これも芸人がどれで勝負するの?って感じで始まったけど
意外と面白かった『芸人歌合戦』みたいな番組ももう詰まらないし、
そもそも歌が上手くないし。
この前ちらっと見たとき、上田が「歌超上手いね」とかみんなに言っているのが痛々しかったよ。
それなのに、一度面白いもの作ったって勲章から未だに逃れられなくて
ダラダラ続けている番組ってたくさんありますわね。
制作側がなんとかしてあげないと、芸人は番組に出続けて
上田みたいに空元気に盛り立てるしかないのが可愛そうな気もする。


齋:上田かぁ。なまじ司会が上手いと大変だね。
“面白かった勲章”は自分だけでなくパクった他局も縛るから大変。
というか『芸人歌合戦』も速攻類似番組ができたからビックリしちゃった。
アレ、いいの?


先:まったくバラエティー番組まで模倣してどうすんだ、っての。
先日もTブーSで『レッド・カーペット』の模倣番組やってましたわよ。
でも、これがびっくりするほど面白くなかったんだな。
それなりの面子出していて、ヒット番組を模倣までしているのに
なぜ面白くなかったのか大いに疑問。反省するべきです。
だめだ。バラエティー云々より、
そもそもテレビ番組自体が面白くなくなってきてるんだよねぇ。


齋:そうなの。昔はそれこそ「見逃してなるものか!」と思う番組がドラマもバラエティも
関係なく多かったのに、今じゃ見逃しても悔しくないものばかり。
まあ、観まくっていた子ども時代と仕事をしている今を比較するのもおかしいかも知れないけどさ。
願わくば、民放で『サラリーマンNEO』をパクったりしないで欲しいな。
たとえばこの人気に便乗してケーナ平泉成沢村一樹に同じようなネタ振りしたりとか。
…沢村のディープキャラは今に始まったことじゃないけど。
『続・星の金貨』のときはまさかここまで花開く(狂い咲き?)するとは思わなんだ。


先:なんだろね。さっきも言ったように、
今のテレビマンたちは子供のころ面白いテレビばっかり観てきたはずなのに。
刹那だねぇ。小説もそうだけど、ネタがつきたってことなのだろうか。
でもさ、私は昔と同じことやったとしても面白いものは面白いと思うの。
新しいことに拘ることはないと思う。
筒井康隆みたいに常に小説の可能性を模索し続ける人もそれはそれで凄いし、
その結果、メーター振り切れるようなものを生み出す可能性はあるかもしれないけど。
古典的なものをやり続けることが退化とは思わないし。
まぁ、飽きられちゃえばそれまでなんだけどさ。
実際、ドリフとかも飽きが来て、みんな『ひょうきん族』にチャンネルかえたんだし。


齋:そうだね。奇をてらわなくても、一世風靡しすぎず、淡々と続けられる番組を作ればいいかもね。
あと、さっきの「芸人の二枚目狙い」に通じるかも知れないけれど、ちょっと面白そうな内容だと
すぐ大物タレントや某アイドル事務所に流れているような気がします。
アイドルなんだから、これ以上付加価値をつけなくてもいいと思うけど、これもご時勢?


先:小説・映画・ドラマと媒体の境界線をなくそうとしてるように
芸能人の中にあるそれぞれの分野の括りもなくそうとしてるんだろうね。
その方が仕事やりやすいから。
まぁ、その分、プロ意識は希薄になるばかりだと思いますけど。


齋:そうか。規制緩和の波はここまで押し寄せているのね。
そのうち、“役者馬鹿”とか“生涯一××”とかも死語になるのかもなぁ。
何だか『笑い』がテーマの割に、妙にしんみりしてしまった感がありますが
また夢中になれる『笑い』に出会いたいものですな。


先:おお、規制緩和!!
緩和なんてカタイ言葉より、「ゆるゆる」って感じだよね。
まぁ、「ゆるキャラ」ばやりの昨今ですから、
今、『笑い』を語るとこうなるのかもね。
ゆるキャラ」って言えば、
奈良の遷都1300年を記念する行事のイメージキャラクター見た?
あれ現代に凄く逆らってるよねぇ。


齋:まあ自治体のマスコットなんて従来あんな感じだけどね。
ひこにゃん」が人気ありすぎてしまったが故に余計注目されていて
ちょっと作者さんが可哀相です。でも確かに今の主流に真っ向勝負しているね。
ただ、是非とも『TVチャンピオン』の“ゆるキャラ王選手権”に参加して、
みうらじゅんに発言していただきたいわ。(仏像好き・ゆるキャラ好き両方の見地から)


先:いくら仏像系でも、みうらじゅんの琴線に触れるのかなぁ、あのキャラ。
頭に鹿の角はえてるんだよ!
気になる方はこちら↓
http://www.1300.jp/mascot.html
では、ゆるゆるのテレビ界が奈良遷都のキャラクターに倣って
パンチの効いたものになってくれますように。


齋:もう、お先生ったら上手くおまとめになるんですから。
…しかし何度見ても、やっぱりパンチのあるキャラですなぁ。
そろそろ公募されていた愛称も発表されるみたいですけど、
とても気になります…。
では、わたくしもお先生のお祈りに便乗して、テレビ界の発展と
マスコットくんに“おもろー!(by世界のナベアツ)”な名前がつくことを祈願して
ペンを置きたいと思います。
ご静聴ありがとうございました。