とるに足らない男です、の話(1)

どうも、皆様、残暑きびしゅうございますがいかがおすごしですか。
最近ちょっとご無沙汰しておりましたお齋藤でございます。

昨晩、BS-iにて篠田正浩監督の『悪霊島』が放映されておりました。
よって、今回は今作について私的感情ありありで書かせていただこうと思います。

まぁ、お齋藤なんぞが説明するまでもないですが、今作は横溝正史大先生の
金田一耕助”シリーズ・同名作の映画化であります。
キャッチコピー、「鵺の鳴く夜は気をつけろ」でもおなじみのこの作品は
また、横溝先生の遺作でもあるのです。

配役は、金田一役に鹿賀丈史、(ある意味)ヒロインは岩下志麻
依頼人は(まだ現役役者時代の)伊丹十三
(一応この映画では)主役に若かりし古尾谷雅人
そして…裏の主役、吉やんは石橋蓮司というなんだか個人的にめくるめく
豪華キャスティング。最近では『めぞん一刻』の一ノ瀬さんまでやってしまう
岸本加世子がヤング・ガール役なのも印象的。
でも、中尾彬岩下志麻の娘が岸本ってどうよ。

さて、話は、1980年、ひとりのサラリーマン・三津木五郎(古尾谷雅人)が
ジョン・レノンの訃報を観るところから始まります。
ラジオから流れるビートルズの曲は10年前にあの島で起こった、世にもおそろしい
事件を思い出させるのに充分だった…。
といった感じで、事件は10年前、三津木がヒッピーをしつつ、ある目的のために渡った
瀬戸内の“刑部島”で起こった連続殺人事件について回想するかたちで描かれます。

1970年、金田一は、刑部島出身の実業家・越智竜平(伊丹)に島で消息を絶った人物を捜すことを依頼される。
島に渡る途中、偶然捜索人の最期に遭った金田一は、そこで「鵺の鳴く夜は気をつけろ…」という謎めいたダイイングメッセージを耳にする。
竜平はかつて島の有力者(佐分利信)の姪・巴(岩下)と恋仲であったが、身分の差を快く思わない伯父の手によりふたりは引き裂かれ、巴は守衛(中尾)と結婚し、双子の娘(岸本・二役)を産む。
時は流れ、自らの才覚でのし上がった竜平は、島にレジャーランドを建設する計画を持ち込む。そこには、昔自分たちを引き裂いた刑部家への復讐心がひそんでいた…。

と、まあいろんなエピソードがに絡んでいるので、これ以上は是非原作or映画をご覧ください。
金田一作品の映画化はやはり巨匠・市川昆が有名ですが、なかなかどうしてこちらも見応えありますよ。(大監督に失礼な言い方ですが…)
学生時代、映画監督志望の友人が「篠田監督は本当に岩下志麻を綺麗にみせることに長けている」と言っておりましたが、まさにそのとおり!
巴について決定的に原作と設定を変えているところがあるのですが、
「“あのシーン”を撮るためにこの設定にしたんじゃないの?」と言いたいくらいすごいシーンがあったし。
それから、個人的に、伊丹十三石橋蓮司のギラギラっぷりがたまらなかったことを書き添えておきます。

思えば、お先生と交流を持つきっかけになったのは何をかくそう金田一でした。
わたくし、『津山三十人殺し』であれだけ人と話せたの初めて・・・。
と、いうわけでこれからシリーズで金田一耕助について語っていこうと思う所存です。
次回、ひとまず『犬神家の一族』にしとう存じます。どうかひとつよろしくお願いします。