「やっと、会えたね…」

皆様、ご無沙汰しておりました、お齋藤でございます。
のっけからどこぞの作家せんせいの口説き文句みたいな
タイトルで申し訳ありません。
釣られてしまった方、哀しいことにここに色恋はありませんので
どうぞお足許に気をつけてお帰りくださいませ。

さて、ここ数日は片田舎在住ゆえ盂蘭盆会行事に明け暮れておりました。
おかげですぐ隣にテレビがあるのに観られない、
『相棒』再放送している裏なのに、観たくない甲子園を観せられる始末。
いや、楽しいけどさー、比較考量っていうの?
お齋藤的にはドラマ>野球、なのです。わかってください。

まあ、そんな毎日のなかで、久々に寄った書店で、ずっと気になっていた
本を見つけて衝動買いしちゃいました。

それは。じゃーん。
戸板康二團十郎切腹事件』。
えぇえぇ、名前でピンと来たあなた、これは歌舞伎にまつわるおはなしです。
老歌舞伎役者・中村雅楽が芸能部の新聞記者・竹野とともに様々な事件を
解決していく推理小説で、この『團十郎切腹事件』は第42回直木賞を受賞した
作品であります。(ちなみに、1作だけでなくこの作品群が受賞対象)
雅楽”の存在は知っていたのですが、これまで読んだことがあるのは
偶然古書店で買ったミステリ・アンソロジーに入っていた、本作にも入っている
『滝に誘う女』しかなく、一度にこんなに(なんと全18篇も入っている!)
読めるだなんて、見つけた瞬間、わたくしが欣喜雀躍したのはいうまでもございません。

しかも、戸板に推理小説を書くことを薦めた江戸川乱歩の解説だとかその他資料も併録なのですから、こりゃあコストパフォーマンスは最大級でしょう!買いだ、買い!!
なんと、東京創元社さまは『中村雅楽探偵全集』を刊行していくそうで、
おかげ様でわたくしもこれからまた本を蒐集する楽しみを胸に生きていけます。
今年の2月から始まったようですが、なぜ今まで気がつかなかったのか、勿体ないです…。


さて。中村雅楽とは、八十近い老歌舞伎役者で、時々舞台に立つこともあるが最近では
もっぱら後進の育成に力を入れている。屋号は“高松屋”で、探偵小説を愛し、
身近に起こった事件もたちどころに、粋に解決していきます!
歌舞伎、というか芸事の世界に精通しているので、梨園のみならず新劇や芸能界が舞台になることも。(まあ、竹野さんが芸能部記者ということもあるのでしょうけれど。)
作者の戸板氏は元々歌舞伎評論家なので、歌舞伎について門外漢のお齋藤にも、歌舞伎座の内部だとか筋などをわかりやすく説明してくれていて、そういう面でもためになりました。

18篇もあるのに、読後感が重くないのも不思議。
やはりどこか劇中劇を観ている感じがするからなのでしょうか。
単にわたくしがいつも胃もたれする話ばかりを読んでいるからなのでしょうか。うぅむ。

この雅楽シリーズ、昔土曜ワイド劇場の枠で、先代・中村勘三郎雅楽を演じ
何回かドラマ化したようなのですが、残念ながらお齋藤は観たことがありません。
ワトスン・竹野は近藤正臣だというし、これがスカパー!でやるなら契約してもいいなぁ。

…とまあ、【テレビ日記】にも関わらず小説の話題で終始してしまいましたが、
それもこれも観たい番組がないんじゃい!と居直ってみたお齋藤でありました。