お先生、一龍斎貞水の講談に触れる!!

お齋藤さまの『グッジョブ』へのコメント、熱い思いが込められておりましたねぇ。
なんだかお先生も見たくなって参りましたよ。
夏のドラマも中盤戦(←まだ??)。
秋には『相棒』シリーズも待ち構えてるんであります。
早く秋になれっ。

さて、小生、大変大変遅ればせながら講談初体験というものを致しました。
それも、恐れ多くも重要無形文化財一龍斎貞水先生の講談なんでぇございます。
初講談が重要無形文化財で良いのかっ?!
「あんた、何を贅沢言ってんのさっ」とお怒りの方。
いやいや、これはてぇへん恐ろしいことなんでぇございますよ。
何故って、最初に最上級を聴いてしまうってんだから、
生きてるうちはこれ以上には出逢えねぇ(かも)、
って刹那を抱きつつ望むって次第なんでぇございました。
いやね、わっちは物事に対して本当に煩いんでございますよ。
良いもの意外は認めねぇって性分なんで。
こりゃあ、実に悲しい性分なんでして。
音楽の世界ってのは横並びにわっちの中で一等、ってのが沢山おりますけれど
とりわけ伝統芸能ってのは経験上、そう一等が沢山いるとは限らないんでございます。
例えば、当人が亡くなってしまっても、
CDなんぞで、まぁ欲求を満たせるもんなんですが、
そこは一期一会の伝統芸能
だれそれさんってのがお亡くなりになってしまいますと、
映像・音声が残ってるからいいじゃねぇか、って話ではなかなか合点がいかねぇんで。
まぁ、落語・講談あたりの独演ものは百歩譲ってこれでもいけますけどね。
昨年、たまたま、わっちのフランス旅行中に、
文楽人形遣い吉田玉男様が亡くなったことは大変な喪失で
玉男・蓑助コンビ以上ってあるのか?!と、今でもついネガティブになっちまうんで……。
能楽師梅若六郎様に至っては、わっちにとってそれ以上の存在なんで、
喜びを与えてくれるものは、常に喪失の恐れにある、ってな次第でございまして……。

話が随分飛んじまいましたが、結果から言うと、
恐れていたわっちが大莫迦野郎でございました。
いやぁ、流石、重要無形文化財!!
わっちが聴いたのは「鋳掛松」って演目だったんでございますが、
これが凄かった。
取っ掛かりは随分と笑わしてくれた貞水先生。
次第にぐいぐいと話に惹きこまれておりました。
圧巻は、話の最後、松五郎が鋳掛屋から盗賊になろうってぇ決心する科白。
わっちの目の前には、正真正銘の鋳掛屋・松五郎が居たんでさぁ。
一世一代の松五郎の科白に、わっちは固唾を呑んで、瞬きも忘れて
唯々、貞水先生の御眼にのり移った松五郎に釘付けになっていたんで……。
いやぁ、やられちまいました。
あの一瞬は、これから先も再び出逢えるかどうか分からない
稀有な時だったに違いございません。
今はただ、この幸せに浸りたい!
「喪失の恐れ」なんぞと臆病風に吹かれてる場合じゃねぇ!
貞水先生は想い出させて下すったんでございます。
そして、欲張りなわっちは今度は是非「累(かさね)」を聴きたい!!
と思ったのでございました。

今日はTVの話じゃなくて、御免なさいね。
以上、お先生でございました。