お齋藤と申します。

はじめまして。「お齋藤」でございます。
よく考えれば『山田→小山田』と違ってあまり意味のない変化形ですが
『お先生』を提唱してしまったのだから何だ坂こんな坂、「お齋藤」で参りたいと
思います。以後お見知りおきを。

さて、お先生が『トリック』『ケイゾク』について述べておられるので、わたくしはもう少し昔のドラマ、『都会の森』について
お話しようと思います。

…という書き出しで8月1日に初書き込みをしたのですが、
はてな様のメカニズムを今ひとつ飲み込めていなかった我々は、
上書き保存の罠に陥ってしまいました。
いやはや、げに恐ろしきIT社会。
ということで今回は仕切り直しで、同じ内容を書かせていただきます。
もし運良く(?)幻の初代を見られた方は「同じじゃねえか、ごらぁ!」などと
言わぬよう。…


『都会の森』−徳永英明の「壊れかけのRadio」が主題歌、と言えばわかる方もおられるかも。
1990年の金曜22時夏のクールにTBSで放送された、主に法廷を舞台にしたドラマであります。

主人公・高島政伸は、検事である父(佐藤慶)の「検事の道を歩んで欲しい」という期待を
よそに弁護士となる。当然、高島の家はぎくしゃくした空気が流れている設定。

彼が初めて弁護したのは、女性教師がその夫を殺害した疑惑がもたれた事件。
有罪間違いなし、といわれていたこの事件の調査を進めていく中で
高島は、被告の女性の身近にいた、ある少年(神田利則)が事件の大きな鍵を握っていることにきづく…。
(ネットで確認したらDVDが発売されていたので、興味のある方は是非ご覧あれ)

思えば、わたくしがそれまで観てきたドラマはバブル期のせいか恋愛が主なテーマの、
いわゆる【トレンディ・ドラマ】ばかり。
石田純一が肩にカーディガンを羽織れば(今もか)、W浅野は渋カジに
身をつつんで街を闊歩、有森也美は織田裕二におでんを宅配…。
確かに面白かったけれど、「カンチ、リカを選んで!」とか、「大人になったら、好きな人に『世界で一番君が好き!』って叫びたい」などとは思うこともありませんでした。
(まあ、未だにあまり共感しないので性格の問題か。)

が、『都会の森』は初めて“内容について考える”ドラマだったと
思います。共感とも、感動ともちょっと違う。
月並みな言い方ではありますが、“心が揺さぶられる”というのが一番当てはまる感じ。
それは、関東の片田舎に住む一介のお子様には結構な衝撃でした。


キャスティングについても、佐藤慶伊武雅刀が流石の存在感を示す
一方、先輩弁護士の田中美佐子財前直見の知的な美しさに惚れ惚れ
させられ、ブレイクしたての江口洋介(勿論ロン毛時代)の精悍さに
びっくりしたもんです。
しかし、なんといっても物語の鍵を握る神田利則の演技力。
意外(といっては失礼ですが)に巧くて、複雑な役にぴったり
はまっていてそれまでバラエティで見てきたキャラが払拭される
いい演技でした。


しかしながら、この作品で特筆すべき点は
主題歌を歌う徳永自身も出演していたこと。でしょう。

かつて黒木瞳に弁護してもらった元ヤクザで、黒木と許されざる
(確か不倫だった?)恋におちるワケありな役どころ。
背中に倶利伽羅紋紋をしょった徳永の肩に、黒木がそっと寄り添う
シーンがあるのですがわたくし、未だにあれ以上のラブシーンに
めぐり逢っておりません。
ただそれだけの映像なのに、凄く綺麗でぐっと来るのですよ。
ああ、懐かしい…
流石、【ドラマのTBS】と謳われただけあり、本当に全てにおいて
神がかっておりました。


ちょっとだけ大人の階段を昇った気になったわたくしが、
【黄金時代】の深夜番組の世界に足を踏み入れ、
本格的にマセガキとなっていくのですが、それはまた別の機会に…。