雪組『fff-フォルティッシッシモ-~歓喜に歌え!~』、『シルクロード』の観劇感想 ベートーヴェンとナポレオン 、ゲーテとシラー、そしてカント。

こんばんは☺

先日、奇跡的にチケットが取れて、雪組の芝居『fff-フォルティッシッシモ-~歓喜に歌え!~』とショー『シルクロード』を観に行ってきました。
きっとこの後は観ることが出来ないかも知れない、もしかしたら1回こっきりのだいきほ退団公演の生観劇なので、脳をフル稼働させて観てきましたので感想を書きたいと思います。
ちなみにA席でした。

 

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いやぁ、、、、なんと言うか、言いたいことがいっぱいある様な、「凄い😫」の一言で終わらせたい様な、なんとも盛りだくさんの内容でした。

『fff』の方はなんとなく、先日感想を書いた『ロミジュリ』や『エリザベート』を思い出させる様な台詞があったりして、ウエクミ先生の作品ですから、色々と覚悟はしていましたが、その内容に心が動かされる様なことがたくさんあり、本当に観に行けて良かったです。

逆に1回だけの観劇の方(まぁ、私もだが💧)、初宝塚の方は、何がなんやら脳が情報処理してるうちに、よく分からないまま終わってしまう可能性もあるかもな、とも思いました。
ぱっと見の分かりやすい恋愛物とかじゃないので……いや、私は「だいきほ」でそう言うのもいっぱい観たかったよ。。。本音は😞(20世紀号、最高でした😵)

さて、事前に大劇場の千秋楽配信を観た友人から、予習は特に必要ない、と言われて、確かにベートーヴェン(ちなみに、吾郎ちゃんが演じた『No.9』も数年前に観劇しました。それも最前列で。。。でも、残念ながら波長が合う内容ではなかったです💧期待しすぎたのかもなぁ。白井物ってちょっと合わないのかもな、って感じているこの頃。)もナポレオン(宝塚作品なら、ちえちゃん主演の『眠らない男・ナポレオン-愛と栄光の果てに-』も生で観劇しました。あと宙の『トラファルガー -ネルソン、その愛と軌跡-』も。)の人生もある程度は知ってるので大丈夫かな?と思いましたが、今回、史実では逢うことがなかったその二人を結ぶ大事な人物として凪様がゲーテを演じるので、ゲーテの一生を語れるくらい知ってる訳ではないし、あと劇中劇として、『若きウェルテルの悩み』の二人が随所に登場する(救いようのない酷い話なんだよなぁ……)、とツイッターレベルの感想を読んで知っていたので、Wikipedia先生にゲーテの生涯などについて教えて貰って、スカステのナウオンステージやぽっぷあっぷ、ステージドアを観て相関図を覚えて、史上最高の『ファントム』のCDで二人の歌声を久々に聴いて、常にiPodに入ってるベートーヴェンの曲の中で特に好きな交響曲(5番、7番)や9番やクロイツェルソナタピアノソナタを聴いて、そう言えば『英雄』や『皇帝』はナポレオンの曲だったなぁ、と思い出したり、あとカントの話も出てくるので昔録画した番組を観たり、本を読まないと、、、と思いましたが、1日ではちょっとキャパオーバーでした。。。

さて、ここからはちょっとネタバレもあります。(芝居の最後の方に明かされるネタについては書かない様にします。)
私としては、事前情報なく観劇する方が色々と衝撃があって良い様な気がします。

しかし、なんせ凄く情報量が多い上に、自分で考え理解し、ひらめくことも必要な作品かと思いますので、それなりに感想を読んでから観に行くのもアリだと思いますので、この先を読むかはお任せします。

(あ、途中、凄く私の感情が大変動いたところがあるので、そこは未見の方は飛ばしていただいた方が良いかも知れません。)
勿論、すべて私の勝手な解釈です。なんせA席で1回しか観ていないので、間違ってるところがあったらすみません😵
では、行ってみよ~う☺

お疲れ様~、お疲れ様~、人生🎶🎶🎶

天使たちがこう歌う中、全員が真っ白い衣装を纏って迎えられたベートーヴェンが中心でタクトを振るいながらみんなが周りをぐるぐる回る。。。
なんか最後はかなり『BADDY』感がありました。

大爆発の大団円、これぞ死を受け入れた幸福な生の終焉、『歓喜の歌』❗❗❗
ゲーテ先生の魂の片割れでもあり、若くして亡くなってしまったシラー(キキちゃん主演の『群盗』の作者)の詩にのせた交響曲第9番。

劇中で、交響曲第5番を作ってる辺りで、「変な曲……(-_-)」みたいなことを謎の女ちゃんに言われ、ベートーヴェンに「じゃあ、お前も何か作ってみろ😠」みたいなことを言われて、きーちゃんが歌うメロディ。
第9のメロディは第8を作ってから出来た物ではなく、随分前からずっとベートーヴェンの中にあったそうで。。。

にしても、この歌をEU欧州連合賛歌として採用したなんて、劇中でも言っていたナポレオンが目指した物とベートーヴェンが目指した物が合致している、とお互い悟った奇跡の瞬間❗❗❗みたいなのをヨーロッパの人はよく理解しているんだな、と言うか、理想の道半ばで倒れてしまったナポレオンの理想が、時を経て叶えられた時にベートーヴェンが作ったこの曲がその連合歌?として採用されたなんて、二人が聞いたら喜ぶだろうなぁ。
そして、啓蒙思想の流れにのって宗教から貴族、そして平民へと、それぞれに捧げる音楽を作り続けて生きた劇中にも登場する数々の音楽家たちの軌跡。
そんなヨーロッパの激動の18~19世紀が描かれた作品でした。

自らの王になるんだ❗
(僕たちの王は、僕たちだ🎶byロミジュリ 時代違うけど💦)

ウィーンへ行くのか?行くんだろ?
(行け、ウィーンへ🎶byエリザベート これも時代は違うけど💦)

イケコは愛と死だけど、ウエクミは生と死。

とか、なんか舞台とする時代は変わってもヨーロッパの思想とかに共通する物を感じながら新たな時代を自ら築き、理想を追求して生きるベートーヴェンとナポレオンに、君たちがやりたいことは理解出来るが、このままでは失敗する、もっと他の手段がある❗と助言する長生きしたゲーテ

それに従い模索するベートーヴェンと、逆らいロシア遠征を強行し、多くの兵を失い幽閉されてしまうナポレオン。

耳が聞こえなくなり始めたベートーヴェンの前に突然現れたかの様に感じていた謎の女は、幼い頃、父に虐げられ絶望の淵にいた頃から寄り添っていた黒い影だった。
「呼んでくれれば来てあげる~」「ほんと?」「必ず~」みたいな『エリザベート』で言うなら黄泉の帝王トートの様な一見、不気味な存在。可愛いけど。

そして、対に成るかの様な「小さな炎」。そんな絶望の最中にあった幼きベートーヴェンを助けた夫人から、「勉強なさい、高い世界に行き(高みに登り)たいなら」と言われ、ゆめ執事からは1冊の赤い本と共に「暗がりを照らす小さな炎はこの中に……」と言葉を貰うベートーヴェン


いやぁ、、、ここ、とてもつもなく良いシーンでした。
ゆめ執事、インタビューで「皆の心に残る台詞を言いたい」的なことを言ってたと思いますけど、彼女のあの声がとても耳に残りました。

で、あの赤い本はカントの『純粋理性批判』とかですか?1781年(ベートーヴェンが10歳くらい)に出版されたので、可能性はあるけど、まぁ、超絶難しい本でもありますわな😞

これが解るようになるには、とにかく、宇宙、時間、空間、自然科学、人間、理性、感性、神、生命、自由とか(書いてて、ほんとベートーヴェンの目指した音楽の様だ。実際、彼はとてつもない量の本を読んでいたそう)多角的に勉強し、理解し(と言うか、自分なりの哲学を持ってい)ないと、入口にも到達できない様な最高峰の哲学書
(当時の芸術家とか皆が影響を受けてたなんて、ほんと皆が勉強家過ぎる😣)

これが解れば絶対人生が楽しいはず❗❗そして、そんな本、カントについて互いに理解し、話せる友がいたら最高なはず❗❗❗
(と、私はずっと思っている。それが人生の勉強の到達点な気がするので。でも、一番勉強して本を読みまくり、読むなら今だ😣と思った時でも、まったく解らなかった、馬鹿過ぎるわたくし💦『100分de名著』も録画して観たけど、全然理解出来た気がしなかった😢)

そんなカントで盛り上がる二人の男❗❗
ベートーヴェンとナポレオン❗❗❗❗

 

❗❗❗❗❗注意❗❗❗❗❗
この後、もっとネタバレ&私の感情ダダ漏れの熱い感想が書いてあるので、未見の方は読まないで取っておいた方が良いかも知れません😵
次の
🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶
まで飛ばして下さい。

 


お互いが希望の炎を失った死の間際、夢の中で、兵士の凍死した屍がいくつも横たわる凍てつくロシアの地で初めて出逢う二人。(てか、ウエクミで思い出すロシアの大地。。。)僅かに暖をとる為の薪の(希望の)炎は消えかけている。

ベートーヴェン交響曲『英雄』を捧げ、彼を題材に協奏曲『皇帝』を作ったほど思い入れのあるナポレオン。
ずっと憧れ、同じ理想を抱いていると勝手に共感し、皇帝になってからは、勝手に裏切られたと怒っていた時代の寵児と出逢ったベートーヴェンは共に話をしていくうちに(これ、妄想だよ)、実は(と言うか、やはり??)俺たちは同じ物を目指していた❗と気付く。

なんだ~、俺たち気が合うなぁ❗❗❗と喜ぶ咲ちゃん演じるナポレオン。

その姿をずっと観ていて、のぞ様トップお披露目公演の『ひかりふる路』で咲ちゃんが演じていたダントンに重なり、あの時はのぞ様との色々な差がまだあって、ロベスピエールより大きな人物を演じなくてはいけなくて、とても大変そうだったのを思い出していました。
そんなトップと2番手が今、時を経て、歴史に名を残す偉人ベートーヴェンとナポレオンを演じている❗
そして、咲ちゃんのナポレオンがとても大きくて勇ましくて、とにかく格好良くて、素敵で、素晴らしかった😭

絶望の淵にある筈の一方、他方では、今まさに自らの哲学の王として高みに登り詰め様としている二人が言葉を交わし、盛り上がる❗❗

それはまさに、歓喜の歌のシラーの詩にある様に、「地球上にただ一人だけでも心を分かち合う魂があると言える者も歓喜せよ❗❗」(結婚出来なかったけどね❗❗みたいな。(シラーの詩にも、優しき妻を娶った者よ歓べ❗ってあるわね💦))みたいな。
そんな運命の瞬間、
交響曲第5番の第4楽章が大音量で鳴り響く❗❗❗❗❗❗❗

銀橋の端と端に立った二人(遠い)が、大声で語り合う❗

「勉強は好きか❗❗」
「あぁ❗❗❗」
「好きな作家は❗❗」
「カントだ❗❗」
「カント❗❗俺もだ❗❗❗」

って。。。

うわーーーーーーーーー
なんだこれーーーーーーーーーー😭😭😭😭😭
エモ過ぎる。。。

余談ですが、私がベートーヴェンの曲の中で一番好きなのは5番の第4楽章なのです。
隣で一緒に観劇していたAちゃんと20年くらい前、突然、駅のホームで第4楽章を歌い出したけど、なんの曲か思い出せないまま二人で歌い続けた第4楽章💦
(『暴れん坊将軍』のテーマ曲みたいに歌い出したら最後まで歌わないと止まらないのですよ❗この第4楽章。何なのかしら、ほんと💦)
あとで5番の第4楽章だよと母に言われて、やっぱり何だかんだ言って、5番が好きなんだな、と悟った私。
あと、やっぱりハ短調の曲が好きなのですよねぇ。

ちなみに小学生の頃はベートーヴェンでは『田園』が一番好きだったけど、ブラームスの方がより好きでした。(なんともウエクミ感ある発言💧今でも一番好きかな。特に交響曲第1番と4番。)

その後、中学生ではベートーヴェンピアノソナタが好きになり、『月光』を練習したけど、第2楽章が全然弾けなかった3歳からピアノを習っていた筈の私💧

更にちなみに、うちの母はクラシック好きなので、家には250枚くらいのクラシックのレコードとCDがあります。考えてみるとそのうち20枚くらいはベートーヴェンの筈。
のだめを観てからは交響曲第7番の素晴らしさをより知り、とても好きになった単純な母娘です💧

と言う訳で、私、これはもう泣かずにいられませんでした❗
もう爆泣きと言うか、、、いや、でも涙を流し出すとほんとヤバいゾーンに入ってしまっていたので、とにかく涙を堪え、声をあげそうになるのも抑えて、我慢に我慢した結果、もう震度3くらいの体の震えがずっと止まらなくて。。。。
お隣の方、ほんとすみませんでした🙇

(「地球上にただ一人だけでも心を分かち合う魂がある」
いや、これって、ゲーテとシラーの関係でもあるよなぁ。。。)

 

 

 

 


🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶🎶

やっと魂の邂逅をしたはずの心の友、ナポレオンは消えてしまい、銀橋の真ん中に真っ暗な中、一人取り残されたのぞ様ベートーヴェン

もう、観ていて、ほんと辛くて可哀想で、心の中でずっと
「早く、謎の女ちゃん出て来てよーーーー😭どこ行ってんだよーーーーー😭」
と思っていました。
とにかくルイ(ベートーヴェンね)を支えてあげたくて😣

そしたら案の定出て来ました、謎の女ちゃん。長い銃を引きずって💦💦
「お前、どこ行ってたんだよーーーー❗❗❗❗❗💢💢」と言うのぞ様(ほんとだよ😫😫😫)。

「ちょっとナポレオンの所に行ってきたの、、、彼は死んだわ。これは記念に貰ってきたの。」と重い銃を抱え上げる謎の女、きーちゃん。

そして、舞台は謎の女の正体、そして、死を間近にするルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが、もう少しだけ待ってくれ❗まだやりたいことがあるんだ❗と第9を完成させる流れに。。。

と言う、いやぁ、、、、本当に素晴らしい。あっぱれな展開❗

私、同じウエクミ先生の作品『神々の土地』も大好きなのですが、あれのドミトリーとイリナの別れのシーンも素晴らしくて、テレビで初めて観たのですが、これも生観劇してたら、凄く泣いてしまったかも知れません。
もうなんて言うか、私が一番好きな作家、三島由紀夫の短編で一番好きな『軽王子と衣通姫』と同じ題材の『月雲の皇子』と、『金色の砂漠』はもう敢えて観ていません❗
だって危ないから。怖いもん😵

え?『BADDY』ですか??はい、生観劇した結果、写真を40枚ほど買う事態になりました。。。💧
ブルーレイは1ヶ月毎日、しかも2回連続とか観てました💧
(当時ヅカファンの間で「今日はBADDYキメてくる」と言う言葉が流行ったほど危険な代物💦)

私、ウエクミ先生の作品の好きなところは、幻想シーンなのに結構、妄想感が強くてエモいところなのですよねぇ。知識があって冷静な様でいて、結構はめ込んできてる(当てにきてる?)所。
女性誌みたいにうわべのエモさだけ追求されても全然エモくなくて物足りないし、学ばかりで圧されてもエンタメ性ないと詰まらないと言う私にとって、いい感じのところで観客よりも上に行ってて、でも行きすぎてなくて(あ、人によっては行きすぎと思う場合もある様ですが💧)私くらいにはちょうど良い「上」感なのです。

エモいって言葉、去年知った言葉ですが、どんな風に使うんだろう?ってずっと謎だったのですが、今、考えると、『BADDY』の階段からのデュエダンとか、『神々の土地』の二人の別れのシーンとか、ああ言う感じは、今までの宝塚作品の感動とか切ないとか言う言葉では足りなくて、「エモい」と表現するのが的確なのでは?と思っています。

今回はトップコンビ、さよなら公演てのもあり、あの終わり方がとても良かった気がしました。
思えば、本公演ではさよなら公演ばかりを作・演出しているウエクミ。
なんだろうな、あのエモさの力は、さよなら公演じゃないと発揮?共有?許容?出来ない何かがあるのかなぁ。
たまさく退団公演の『桜嵐記』も作・演出するウエクミ。
なんか今から危険な香りがします。怖い😵

ちなみに、ウエクミ先生はパンフレットで、
「クラシックを毎日アルバイトで聴いていて最初はフランスやロシアの曲に惹かれたが、段々興味のなかったドイツ音楽が厭きないどころか、聴けば聴くほど好きになった」と仰っていますけど、私はこれ、クラシック音楽は違うんですが、ドイツ文学に対して今、まさにこれに似た思いを抱いています。
フランス文学やその影響を強く受けたロシア文学に惹かれていたけど、ゲーテやシラーが与えた影響を知れば知るほどその書くものに興味を持ち始めた今、ちゃんと読んでみたいです❗


さて、ショーは『BUND/NEON 上海』の場面??が抜群に良かったです。あれで1時間でも良かった私💧
そりゃ生田先生の初作品なので意図が明確な訳です。当時は格好いいけど突っ込みどころは色々って言われてた気がしますが、劉衛強への思い入れが強くて、その後の写真集もあの雰囲気で撮ったのぞ様。懐かしいですね。
もっと私が大好きなオギー味があるかと思いましたが、そうでもなかった印象。
1回のみの観劇では理解は無理なのかな。
少し前にBSでも再放送していた「ホープダイヤ」が題材だったのでもっと悲劇性も観たかったけど。
シェヘラザードのシーンは大好きな月組ショー『ファンシー・ダンス』を少し思い出しました。

しかーーし、だいきほの格好いいダンスをもっともっと観たかったです❗デュエダンは最高でしたけどもね。
あと、咲きわの白い鳩以外は全員黒かったのもジメッとしてなくて好きでした。
あの戦争の場面、とにかく全員が出ていてもあゆみ様のダンスのキレが凄すぎて釘付けでした😱

最後に動画を一応🎶


雪組公演『f f f -フォルティッシッシモ-』『シルクロード~盗賊と宝石~』初日舞台映像(ロング)

以上❗
長文、失礼しました❗